5月や6月は、新年度スタートの緊張感が疲れてきて、仕事や学校が億劫になりやすい季節だなぁと感じているので、「こころの不調」について書いてみたいと思います。東洋医学では5つの臓「肝、心、脾、肺、腎」は全て、異なる感情に対応しています。そして、全ての精神活動を統括するのは「心」の役割です。この心は、気血の栄養が不足すると、うまく働くことができずさまざまな不調につながります。
東洋医学で考える体の働きと心の不調の関係を次の5つに分けて説明していきます。
①心を十分に栄養する「血」が足りていない。
②心が弱まり全身が冷える
③血が流れにくくなるとさらに心に影響が出る
④からだに溜まった「痰湿・熱」が精神活動を乱している。
⑤季節の移り変わりや気象変化の影響を受けている。「五行・外因」
①こころを十分に栄養する「血」が足りていない。
特に「血」が不足すると、不眠や精神不安定などのメンタル不調が現れやすくなります。中医学では「心血不足」「心血虚」というように表現していきます。
②心が弱まり全身が冷える
また、「心」は「主血」という機能があり、全身に血液をポンプのように送り出す働きがあります。この働きが弱ってしまうと、全身に暖かい血が届かず、全身の冷えにつながります(心陽虚)。
③血が流れにくくなるとさらに心に影響が出る
さらに、「心血瘀阻(しんけつおそ)」と言って、流れにくいドロドロに冷えた血が胸部に停滞して、心の働きを阻害してしまうことも。
この場合は、心のトラブルである動悸や不眠などの他に、胸の痛み、上背部への痛み、皮膚に栄養が渡らずさめ肌になる、など特徴的なトラブルが出ます。
④からだに溜まった「痰湿・熱」がこころを乱している。
こころのスムーズな働きを「乱す」ものが大きく2つあります。
一つは、「痰湿」です。
これは、体の中にある水液が、うまく巡らずに停滞し、部分的に流れにくくなっている状態をあらわしています。
この痰湿は、主に食生活によって体内に溜まり、不調の原因になります。
例えば、スナック菓子、甘いお菓子、脂肪分の多い食材など。
人それぞれ違うので、特定の食べ物が悪いわけではありませんが、
体は「水」でできており、それが流れにくいのですから、
体が重だるく感じたり、気持ちも沈みやすくなったりするなどの影響が出ます。
もう一つは、「熱」です。
熱は、体の機能を「乱す」ように作用してしまいます。
熱は、食生活によって体内に溜まってしまう場合と、
気が停滞を起こし、長引くと発生します。
熱性のものは本来、体を温めたり、エネルギーとして使われるのですが、それが使われない・または取りすぎると溜まっていきます。
その溜まった熱が精神に作用すると、気分を乱し、イライラを助長させます。
この2つは、体内に同時に存在することもあり、こうなるとなかなかすぐには体から出ていってくれません。食生活に気をつけ、痰湿や熱になるものを控えること、または内臓を活性化して代謝し、排出(尿や便、汗として出す)する必要があります。
⑤季節の移り変わりや気象変化の影響を受けている。「五行・外因」
東洋医学では、季節の移り変わり(気温、日照時間、気候変化)によっても体への影響が変わると考えます。
体の「六臓六腑」に該当した季節や時間帯があり、その季節・時間帯に合わせた機能が影響を受けやすくなります。
春は肝の季節
夏は心の季節
梅雨は脾の季節
秋は肺の季節
冬は腎の季節
とします。
それぞれの季節に応じて、メンタルも変動していきます。
起こりやすい感情の変化と、その変動のリズムを知ることで、感情の変化を客観的に捉えやすくなります。自分のことでもそれを客観的に捉えることで、「今のメンタル不調に対処する方法を変えてみよう」というふうに、前向きに向き合うきっかけになります。感情の変化に振り回されることを減らし、生きやすいライフスタイルを作っていきましょう。